
はじめに

平成10年11月12日(木)、東京ビッグサイトにおいて開催された情報通信機器の展示会ComJapanにおいて、障害者・高齢者によるアクセシビリティ(そこに接近し、目的を達成できるかどうか)の調査を行った。これは、(株)ユーディット(情報のユニバーサルデザイン研究所)が電子協(JEIDA)の依頼により行ったものである。インターネットを使って募集された15人のさまざまな障害者(肢体不自由、発話障害、聴覚障害、全盲、弱視)が、ノートPCにコメントを打ちこみながら会場を歩き回り、午後の報告会でその意見を主催者側に発表するという形式をとった。これは、その際に寄せられた意見を中心に作成されたレポートである。
「健康なビジネスマン」が対象というイメージをもとに行なわれる幾多の展示会が、その範疇に入らないユーザーの目から見るとどのように写るのか、参加したさまざまな立場の方からの意見をまとめてみると、主催者側にとっては意外なことも多い。21世紀の日本では、65歳以上が4分の1を占め、障害者の社会進出は進み、女性の購入決定権も増すだろう。このような環境の中で、情報通信機器をはじめとする幾多の展示会は、さまざまなユーザーを惹きつけることができるのだろうか?
ここに寄せられた意見をもとに、展示会におけるユニバーサルアクセス(参加した誰もがアクセスできること)が進み、より多くの人々や企業にとって実りの多い情報受発信の場となることを期待するものである。