ComJapan1999 アクセシビリティチェックレポート

小竹 康雄さん(22歳)
金 秀榮さん(23歳)

当日、24、25程度のブースを担当しました。初参加でしたので、当日まで仕事内容がいまいち理解しにくくて、当日のミーティングで初めて"アクセシビリティ"の意味をも知りました。未だにあれは、アルバイトとしてかボランティアとしてか捉えがたいです。今回、金 秀榮さんは事前のネット上のやりとりにあまり参加していなかった責任はありますが、次回からは、仕事内容、場所、実行主旨等などをもう少しわかりやすくしておいてくれる工夫が欲しいです。

聾者の為に用意してあるホワイトボードの写真

私達が担当したブースはほとんどが福祉機器を扱っていたため、おおむね人の対応は良かったと思います。始め、私達は客を装って、説明員の反応を見てみました。『ゼロックス』では視覚・聴覚・高齢者にも使いやすい音声ガイド機能・大きな表示パネルが付いたコピー機を50代くらいの説明員から説明を受けました。前もって説明するための研修を受けているのか、スムーズな口調でした。
「従来のボタンとこっちのボタンはどちらが聴覚障害者にとって使いやすいと思われますか?」
「会社では、どのような時に必要となるでしょうか?」
など、逆にこちら側に質問をする研究熱心な態度に好感が持てました。実際に体験させてもらった後、そこのブースの責任者に「私達はこれこれの会社で、これを調査している者です。」という説明をし、資料を渡すと、名刺をくれました。

日立の手話通訳がついての機器の説明会の写真

『日立』は、前から、聴覚障害者が多く働いているという情報を知っていましたので、ろう者との客として訪問しました。すると、待ってましたーとばかり、派遣手話通訳の女性が現れ、説明員の説明を通訳しはじめました。日立は、医療福祉機器部門が独立してるほど、様々な最先端機器が並べられていましたが、中でも打ち込んだ文章をコンピュータの中のキャラクターが手話に変えてくれるソフトは、これからろう者が聞く講演会等で大いに利用価値が高まることだろうと思います。手話通訳を同伴していたのは、24ブースのうちここだけでした。ろう者にとって何でも質問のできるブースであったと思います。それから、何分かごとに間隔をあけ、大勢の人が集まった際におすすめ機器を紹介するといった工夫がなされている点も臨機応変な態度で良かったと思います。

ある会社は、視覚障害者用の機器を扱っているブースで、40代くらいの男性説明員が1人だけいました。この説明員が説明に不慣れで自分のブースの設置主旨をも理解していないようでした。例えば、「視覚障害者が実際、このブースに訪問しに来たらどんな対応をとるつもりですか?」
といった質問に対し、「以前は、特別の係を設置しておりましたが、今は資金操りの問題で設置できないんです。」という返答でした。
資金面の苦しさという会社の手のうちを明かした上に、自分で何とかしようという誠意も感じられなかった為、小竹 康雄が「そんなんじゃ、このブースは何の為にあるのかがわからないでしょう?」
と論してしまいました。ここの会社には、あの"展示会のあり方"の冊子を熟読し、お勉強してもらいたいです。

以上、個々のブースで気になった所を挙げましたが、福祉機器を扱うということで、一部を除けば、対応は易しかったし、まずまずの誠意がありました。しかし、一番気になる点は消費者が購買力をかきたてられる魅力的なブースが少なかったことでした。24ブース内で合格点をあげられる所はどこもないでしょう。いくら福祉機器とはいえ、この展示会において、他社とはちがう"売り"にしたい点があったはずです。福祉機器も立派なビジネス商品の一つなのです。私達は後半、きらびやかな携帯電話やパソコン等の展示会を横目に、このブースには以前から特別興味を持つ人か、福祉関係者しか、集まらないような気がしました。

一般人には関係ないのだから、それでも良かろうという声もありましたが多くの会社の重役や社員が見に来ている展示会において、少しでも情報を持って帰ってもらい、社内整備の一助となってほしいです。高齢者、障害者にとっての働くチャンスも広がるというものです。

NECなどは、説明員がわざわざご親切にも「あちらでもっと大きな展示をしております。」と、パソコン部門を指差しました。小さな会社はともかく、大きな所は、福祉機器部門にも力を入れるべきだし、人員が足りないなら、わざわざ分ける必要はないと思います。何かおまけブースのようでさみしかったです。いまだに福祉といえば、地味目、控え目、非営利というイメージが付きまとっているようでした。福祉機器も買う消費者から見れば立派な高価商品です。

私達は余った時間で、ろう者が最も良く使う携帯電話J−PHONEのブースへ足を運びました。J−PHONEにはスカイメールという1メール5円の文字メールサービスがあり、使いやすさからろう者の間であっという間に広がったといいます。

私達は、電子機器の展示会は始めてだったので、あんなに多くのコンパニオンが大きなテレビ画面をあやつりながら、みかけるように説明していく説明会にひきつけられました。皆、アナウンサーやDJのようで、わかりやすいし、おもしろいです。しかし、ろう者の小竹 康雄にとっては不満だらけのものでした。当たり前です。ド派手でエキサイティングな説明会も耳が聞こえなければ、まったく楽しめないのです。早速、文字サービス部門の責任者を呼んで、訴えました。「J−PHONEは聴覚障害者の中でTOPの使い手なんです。ろう者にとっても一工夫のある展示会をお願いします。」責任者は「J−PHONEがろう者にそんなに使われていることも知りませんでした。私がこれから、いろいろ企画を組んでいく際、参考にしたいので、何か案があればこちらへ連絡下さい。」と名刺をくれました。それにしても、文字サービスで有名な会社が、聴覚障害者を利用者として考えていなかったという事実も、あまりにも対応が遅れていると思います。

さて、展示会の終了後の交流会で、知り合いになった人たちもいて楽しくておいしい会になりました。今回の経験で人が出向き、評価していくという行動が、実際に展示会を誰でも楽しめるように変えていくというのはとてもおもしろいことだと思いました。
皆さん、本当にご苦労様でした。

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