
ComJapan1999 アクセシビリティチェックレポート
三竹 眞知子さん(主婦:年齢不詳)
「山本さん(肢体不自由)のパートナーとしての視点から」(A)「障害者・高齢者に配慮していたブースはどんな作りだったか」
- 入り口が十分に広くて、車椅子での移動が可能であること。
→入場者の行列を整理するためのポールがあって、空間が遮られているところがあった。 - 機器やパンフレットの陳列が、車椅子利用者の目線より下になるスペースを設置すること。
→立位での作業に都合のよい高さが、ほとんどで、陳列品が見えないところが多かった。 - お試しコーナーでは、通信機器の陳列台に車椅子利用者が接近し、膝部を台の下に入れられる十分なスペースのあるテーブルを設けること。
→配線の煩雑さを隠すためと称して、物置のように、目隠しをしているところがあった。 - 壁面のパネルの文字は、タイトル以外ほとんど読めない。
→顎をあげつづける姿勢を続けたため、首と肩が凝ってしまった。
(B)「望ましい接客態度としてどんなものがあったか」
- (A)−2/3に不備があっても、キーボードを膝に乗せてくれたり、受話器を持たせてくれたり、対応が親切な説明員がいると、不満を言う必要がなくなる。
- 質問者に目線を合わせて、きちんと答えてくれる。
説明者の熱意と気迫が伝わると、その企業のやる気を感じさせられ、明るい将来が予感できる。 - 客を無意味に待たせない。
→「責任者を呼んできます」といって、他の客の応対をしている責任者に対し、何のサインもせず、ずっと立っている。5分以上たっても責任者の側に待するだけで、私たちに、弁解も事情説明もない。目線に誠意がないので、待ちきれず、次のブースに移った。
(C)「インターネットを使った障害者の意見集約についてどう思うか」
今回が私には、初めての経験だった。自宅に居ながらにして、関わることができ、とても楽しかった。外出しにくい障害者や高齢者が、サイバースペースで、コンセンサスに到達できたことは、画期的だ。インターネットを使えば、アンケートをとるのも、容易いとは、聞いていたが、さもあらん。
- 同時に同所にいる必要がないので、時間と経費と体力の節約ができる。
- 多様で、多数の人が同時に関われる。
- 共同作業なので、意見が偏らない。
- もちろん、最終的に集約・調整能力のある人材が必要である。
(D) その他
○ ICカードシステム
手の不自由な障害者にとって、金銭と同等の役割をするICカードの開発は、とても嬉しいニュースだ。 ケースに入れたままでも、反応するので、ありがたい。自動販売機で何かを購入するにしても、お財布を渡すよりは、容易なので、人に頼みやすい。
○ テレビ電話
障害者や高齢者など、外出がままならない人たちにとって、孤独感や疎外感の軽減のためにも、普及が待たれる。
○ 駅での対応
小田急線町田駅・新宿駅、JR新宿駅・新橋駅、ゆりかもめ新橋駅・国際展示場前駅と6個所の応対経験をした。小田急、JRともに、乗車駅では2名体制。下車駅では、1名であった。
- 町田駅で、手帳の提示を求められた。「今まで、そのような経験はなかった」というと、その駅員は引きさがったのだが、また、別の駅員から再度言われ、車椅子背部にかけたリュックのポケットから私が出して見せた。手が不自由だということが見かけではわからないようだ。
- 両手を広げて道を空けるガイドがあまりにも大袈裟すぎるところがあった。接遇応対セミナー優等生という感じで一生懸命なのだが、やはり、自然体が望ましい。
- ホーム端(視覚障害者用の突起のある黄色い帯より、外側)を電動車椅子で移動するのは、危険なのではないかと思うのだが、そこを先導された。
- JR新宿のような大きな駅では、リフトの場所に移動するのに、数分歩いたような気がする。
駅員手配にも、10分くらいかかったと思う。 - ゆりかもめでは、設備がしっかりしているので、駅員は、オフィス内から「どうぞ」と声掛けするだけだったが、問題なかった。ここのように案内板やリフトなどの環境を整備して、車椅子の人が気楽に往来できるのが好ましい。
(D)終わりに
障害を、性・人種・民族・宗教・家柄と同様に、多様性のひとつととらえ、だれもが尊重されて生きられるような社会のユニバーサル化をはかっていきたいものだ。
現状では、各ブースで「責任者をお願いします」というと、何か小言をいわれるのではなかろうかというような構えた対応や、へりくだった態度であらわれる場合もあった。障害者対応を特別なものととらえるのではなく、だれに対しても、自然に振る舞うのが、ノーマライゼーションなのだと思う。
私たちの生の声をコメントとして伝えながら、一期一会の貴重なふれあい体験をさせていただいた。
アクセシビリティの改善で差別をなくすことが、障害者の社会参加や生活の自立促進に繋がればありがたいものだ。地道な積み重ねが必要なのだと思う。山本さん、色々、ありがとう。