ComJapan1999 アクセシビリティチェックレポート

さくらい めぐみさん(手話通訳 30歳代)

* 障害者・高齢者に配慮していたブースはどんな作りだったか

段差のあったあるブースは、設営に一億円を投入しているそうで、そこは大スクリーンの下でステージショーをしていましたが、音声のみの商品紹介で、視覚からはイメージのみでした。
ペアのHさんは内容を全く把握することが出来ませんでした。
そこと同じグループ会社のブース責任者が、私の所はその1/5の費用だと、にこやかに話して下さいました……!
段差と移動の広さの点は、全体が比較的ゆったりしていたと思います。
人の流れを作る為と、狭いスペースを有効に使う為に複雑な動きを取らなくてはならない所は疲れが増します。
パンフレット台の脚が気になったブースがあり、しっかりとスピーカースタンドも出っ張り、幅を取っていましたが、つまづいたら大事だと思いました。
立った視線に合わせたディスプレイが置かれるカウンターは車椅子に座る大人と、小さな子供の頭の高さですから、角は丸みがほしかったです。
音響基準は、ブースから2m離れた境界線で80デシベルが上限なのだそうです。
80デシベルは地下鉄の車内ぐらいのレベルですから、自社はそれ以下に抑えています、と胸を張って説明されても基準値を抑えることが要検討だと思います。
照明が車椅子からの視界に入ってしまう点は、「すぐにライトのヘッドを長くしてみましょう」と改善策を出してくれた所がありました。

* 望ましい接客態度としてどんなものがあったか

Hさんと私は、手話を主としながら口話(口の動きで読み取る)と合わせてコミュニケーションをとっていましたが、手が動いていない時はなんら健常者と変わりなく見えます。
そんな時にコンパニオンに声をかけられるのですが、聞こえない事を知ると、スッと引いてしまうことが度々でした。
コンパニオンの誰もが筆記用具をすぐ使える状態にある人はいませんでした。(私はどんな応対をするのか、通訳をしないで見ていました。)
あるブースでは、「期間中に行われている担当者朝礼の際に障害者の応対について毎朝触れています」というところがありました。
言葉だけで終わってしまわないで欲しいと思いを込めてこちらの用意したパンフレットを手渡してきましたが、責任者の方々も弁解はするものの、誠意ある応対をして下さいました。
弁解の中で気になってしまったのが、「障害者の絶対数は少ない」 「ルールは守っている」というものです。
責任者の口からそのような言葉は聞きたくありませんでした。

* インターネットを使った障害者の意見集約についてどう思うか

同じ障害の中でさえも個々のPC環境が違っているところで今回の意見集約には、時間が足りなかったのではないかと思います。
また、募集時の「対象」が『障害者または高齢者で、コミュニケーションに支障の少ない方を優先』とあるところは、自発意見の出来る人に限られてしまい、求める「誰でも楽しめる展示会のあり方」の誰もになっているのか気になります。
特に聴障はコミュニケーション障害とも言われます。短時間に全体を把握し、流れについていく為にはもう少し時間だけではない、配慮があっても良かったと思います。

以上ですが、通訳とモニターとしての兼任参加から……

聞こえてくる音声、情報が完全に保障されて初めて聴障者が主体性をもって参加できる環境と言えます。私の通訳スキルに問題があったのですが、特に顔合わせの全体説明の時は、誰の発言かがしっかりとわかるような環境を作ることが出来なく、Hさんには迷惑を掛けてしまったと思います。

今回は、22社のモニターだけで終わってしまった一日でした。
もう一日ゆっくりとまわって楽しみ、ゆりかもめに乗って帰りたいです……。(ゆりかもめに乗るつもりが、案内を見落として国際展示場駅?歩いているうちに隣の駅まで行ってしまいました!)
主催者はじめ、みなさん、お世話になり、ありがとうございました。
また、どこかでお会いできますように。

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