ComJapan1999 アクセシビリティチェックレポート

渡辺 正典さん(61歳)

  1. 調査対象

    我々の調査対象は、「4−11のゾーン」22社である。
    たまたまこのゾーンは、電気通信アクセス協議会主導で展示しているもので、2つのブロックから成り立っている。一方はバリアーフリー機能を有する電気通信設備の展示、他方は高度通信システム相互接続に関するものである。この展示の仕方が、前者が身障者や高齢者に優しく、後者が健常者対応となっており、その対照が面白い。

    Iブロック (8社)
    電気通信設備の展示の写真
    電気通信アクセシビリティ/ユニバーサルデザイン
    情報バリアフリーな機能を有する電気通信設備の実現を目指すブロック

    IIブロック (14社)
    高度通信システム相互接続の写真
    HATS推進会議(高度通信システム相互接続推進会議)

  2. 調査結果

    両ブロックとも、この展示の方法が極めて対照的であり、今後の展示会のあり方を考える上で参考になると思い、写真に撮った。

    Iブロック
    身障者や高齢者に考慮した写真
    展示台の下に椅子があり、高齢者や身体の弱い人は座って説明を聞くことが出来る。車椅子も入る。
    展示されている製品も、点字つきのキーボードをもつパソコン(IBM)、難聴者用携帯電話(松下通信)、聴覚障害者用公衆ファックス(リコー)など、障害者の関心のある製品が展示されている。
    健常者には台が低いので少しこごみがちになる。

    IIブロック
    健常者向け対応の写真通常の展示方法。展示台の高さも立った姿勢で見やすいものになっている。椅子や、車椅子の入るスペースは特に考慮されていない。
    健常者を前提としている。
    展示されている機器は、高度通信システムに関する最新技術の紹介で、かなり高度なものである。

  3. 考察

    2つのブロックの展示を計画したのは電気通信アクセス協議会。会場におられた同会事務局の清水博一さんの説明では、Ⅰブロックに対しては、身体に障害のある人や高齢者のために、展示方法を工夫した。またこの計画に際しては、昨年度のユッディットのアクセシビリティレポートを参考にした、とのことであった。
    これは1つの問題の解決方法であると思われる。身体に障害のある方や高齢者は、座ってじっくり聞くことも必要だし、高度情報機器のようなものは、その方面の専門家か相当勉強した人達が関心をもつ分野で、素人が寄りつきにくいものである。ある程度回転率をあげることも必要である。

健常者と身障者、お互いが無理をせず、歩み寄っていくことで良い結果が生れる。そういう意味でこの2つのブロックの展示方法は参考になると思いました。障害者に適応する機器も、これらに触れて、理解を深めることは大変良いことだと思いました。
大勢の見学者が殺到する展示会で、全部を障害者基準とする訳にもいかないでしょうから、今回の電気通信アクセス協議会の試みは、今後の展示のあり方に一石を投じたものと思います。
身体に障害のある方に住み易い環境を提供するには、やはり身障者が自由に使いこなせるハードウェアの開発が不可欠です。Ⅰブロックに展示されていたものの中にも面白いものがありました。地方自治体でも積極的に採用する動きがあるとのこと、メーカとしてもこれらの製品開発に注力することになれば、展示会に対する考え方も変わってくると思います。いろいろ考えさせられた展示でした。


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