「森をわたってくる風」
子供の頃、目を瞑って自転車を漕いだことがあります。
どこまで、まっすぐに走れるかのかが試してみたくて。
電気を消してお風呂に入るのも好きでした。
浴槽の木の香りと立ち篭める湯気が体を包み込む、
その感覚が子供ながらに豊かに感じられ、
いつもなら早くお風呂から出て遊びたい私に
正しいお風呂の入り方を暗闇が教えてくれたかのようでした。
けれども、いつのまにか私は楽しかった遊びを忘れ、
目や耳にすっかり頼る大人になってしまいました。
ある時、夜の森に遊びに行くことになりました。
明かり一つない暗闇のなか、
蒸せ返るほどの木と落ち葉と土の匂いを体内に吸い込み、
裸足で土の上に立ち、時には寝転び、真っ暗な森の中で
「ああ、私は、地球の子だった」とからだが思い出したのです。
私は、目を使って歩くのではなく子供のときのように、
足で森を歩くことができました。
土は、母親の肌のように、柔らかく温かでした。
なんて豊かなことでしょう。
私は土と抱き合い空気や風と抱き合っていたのです。
子供の頃に知っていた風が戻ってきました。
風は、吹くのではなく、渡ってくるのです。
目や耳で感じたものではなく心で感じたものは深く温かでした。
私たちは、大人になっても年をとっても、まだまだ感じ、
そして知ることができそうです。
限られたものしか見ること、聴くことができず、
いつのまにか小さな自分の感覚に奔走されていた私達。
きっと何も見えない暗闇のなかで本物を感じる力を
取り戻すことができるでしょう。
この「黎明Reimei Project」の中で本物の自分とも出会えるかもしれません。
素敵な自分の感性に耳を澄ますときを、
どうぞご自分にプレゼントしてみてください。
きっと、人という生き物は、すばらしいものだと感じることができるでしょう。
癒しの森治療院・グリーンサム(バースセラピスト) 志村季世恵