「匠」

砥石に向かう。
まず、研いでみる。
鉋刃の・あ・た・り・は、指先から伝わって
放った水の馴染む姿といっしょに、
なんとも言い難い深さで
この刃物の味を教えてくれる。

鉋を仕立てる。
引いてみる。
鉋刃は、微妙に木肌をつかみ、
陸が抜ける。

砥石との・あ・た・り・によく似た
正直な仕事をしてくれる。

梓人/大工作家 勝水喜一

実行委員会よりひとこと・・・・

もうひとつ、皆さんが体験されたことを、語りやすいように特別な机を北海道阿寒町に住む大工作家・梓人である勝水喜一さんから提供して頂きました。
彼は、数百年生きた樹が、工業規格にあわないためだけの理由で、一瞬にしてチップに砕かれて、紙となり私たちが一瞬に消費してしまう丸太のなかから、1本の樹を選びます。そしてこの規格外の割れ、腐り、入り皮という工業的欠点を逆に魅力として生かし、乾燥させ、一本の釘も使わず組んで机、椅子を作ります。その作品は、樹が育っただけの時間は必ず持つといいます。いわゆるアートではなく、本当に使って、触わって、人が生活する中で使って、共に育つことを期待しています。どうか、表面、裏面など机全体を手で感じてみてください。

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