1.展示ブース

1.1 展示ブースを作るときの配慮点

基本的に、車椅子ユーザーが自由に動いて回ることができ、杖を使うユーザーにも動きやすいよう、通路は広めに取ることが要望されている。可能であれば車椅子がすれ違うだけの幅があることが望ましい。簡単な目安として、腕を肩の位置で折った状態で立った大人が、2人すれ違える幅があると十分であると言われている。

床は高齢者など疲れ易い人のためにはじゅうたん敷きがいいが、余り毛足が長いと車椅子の抵抗が大きくなるので注意が必要である。展示物のコーナーごとに段差をつけるようなデザインは、アクセシビリティの観点からは好ましくない。一方通行でユーザーを誘導している場合など、その方向指示の→などは、床に大きく書いたほうが良い。

また、各展示ブースの入り口周辺には、物を置かないでほしい、突起物は危険なのでできるだけ置かないでほしい、固定できるものは完全に固定してほしいという要望が、視覚障害者から出されている。これは小さい子供が参加する展示会でも同様のことが言える。パンフレット台や目隠しの植木鉢など、通路の邪魔になるような位置には置かず、ぶつかっても危険のないような配慮が必要である。

1.2 説明会場

2ブースの中に椅子席を設け、大型スクリーンを使ってプレゼンテーションをする場合、仮設だからこそ、障害者への配慮を付け易くなる。パイプ椅子を並べてある場合は係員が一個どけるとか、前列へ誘導するなどの配慮が望ましい。

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1.3 展示物の置き方

立って説明する高さに展示物が並んでいる場合が多いため、車椅子ユーザーや背の低い人、子供には見えにくい場合もあるが、これは、展示物を見える位置へ引き寄せる、パソコンの展示会では液晶パネルでの展示として画面を傾けて見せ易くする、などの配慮が必要ではないかと思われる。また、体験コーナーなどでは一般的な机の高さにして車椅子ユーザーもアクセスしやすい造りの場所を最低1箇所は設けるなどの配慮も望まれる。

1.4 パネルや照明に関する配慮点

高齢者でなくとも、細かい字がいっぱい書いてあるパネルは、読む気が起こらず通りすぎてしまうものである。まして、あまり明るくない展示会場内に掲示する展示パネルは、できるだけ大きな字で、コントラストのはっきりした文字で記載する必要がある。また、デザインに凝りすぎて、絵柄の上に字を乗せてあるパネルもたまに見かけるが、会場ではほとんど読んでもらえないものだということを理解してほしい。

コンピューターなどの展示会では致し方ない点もあるが、カタカナだけを羅列したパネルは全く意味がわからないものも多い。一般ユーザーも参加する展示会では、わかりやすさへの配慮も必要である。専門家向け展示会のパネルをそのまま流用するのは、できれば避けていただきたい。また、照明も大事な要素となる。直接、光が目に入らないようにしてほしい。

1.5 音響

昨年、最もすべてのユーザーから不満が大きかったのは、会場内の音である。ボリュームを最大にして客寄せをしようとしていたが、却ってお客を遠ざけていた。会場内の音は、

といった、悪い結果だけを招くことがわかった。また、展示会に慣れない高齢者、主婦、子供たち、初心ユーザーにとっても、疲れを招くだけのようである。展示会の顧客満足度は、意外に、会場の音や光といった、「環境」に依存する。満足に情報を得て、帰宅できなかったという思いをユーザーに残さないためにも、会場内環境にもっと配慮することが必要である。

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