
3.情報のユニバーサルデザイン
3.1 電子媒体による情報保障の今後
今回、展示会のアクセシビリティを考える上で、当事者からたくさん上がってきたのは、もっと情報機器やインターネットを有効活用すべきだ、という意見であった。カタログや取扱説明書を作成する際、すでに電子データになっているのであれば、それを受け取る方法があれば、高齢者は小さな文字に悩むこともなく、肢体不自由者も本をめくる手間が省け、また視覚障害者は耳で聞けるのである。データをきちんと準備し、それぞれが自分に合った形式でそれを受け取れるように保障することが、情報のユニバーサルデザインの第一歩であると言えるだろう。今回、次のような提案があった。
- 情報はフロッピーで渡してほしい。
- アンケートをWeb上で入力したい。
- 会場内の案内をする簡易カーナビのようなものを貸し出してほしい。
- 聴覚障害者への情報保障の一助として、パソコンをノートテイクに使いたい。
- 音声認識ソフトを組み込んだPCで会話を支援してほしい。
- かさばるパンフレットより、大きな字で作った製品情報のリンク集を一枚配ってほしい。
- 事前にWeb上で展示される製品の情報を読んでおくことができれば、実際に触ったとき理解が早いので展示会に連動したWebページを充実させてほしい。
- 必要なときだけそのページをその場で印刷またはフロッピーで出してほしい。
これらは、情報通信機器を使いこなしている障害者・高齢者だからこそ出てきた意見であるとも言える。今後、情報通信のユーザーに、高齢者・障害者がどんどん増えることを考えると、このような意見を傾聴することの重要性を感じる。電話やタイプライターも、音声認識も、最初は障害者のニーズを解決することから始まった。これらのアイデアから、来世紀を凌駕する新しい製品、それも、高齢者や障害者が、家族や同僚と一緒に楽しく使えるようなユニバーサルデザインの情報通信機器が生まれてくるのかもしれない。展示会がそのための、情報受発信の場となることを期待する。