Linux というのは自由に再配布することのできる、独立した Unix 系オペレーティングシステム(OS)のことです。 Linux は本来 OS の中核となるカーネルの部分だけを指す名称ですが、Linux カーネルベースのシステム全体をさして 「Linux」と表現することもあります。
一般に Linux の配布においては、カーネルだけでなく数多くのコマンド類やソフトウェアなどがバイナリ形式で付属しています。これらをセットにして配布することによって、実用に足る UNIX OS 環境を簡単に、そしてすばやく構築することができます。こういったソフトウェアのまとまりのことを 「ディストリビューション」と呼んでおり、多くのグループの手によってさまざまな種類のものが広く配布されています。そのため一口にLinuxと言っても、ソフトウェアの組み合わせによりアクセシビリティの対応状況が異なります。
ここではFedora Core ProjectによるディストリビューションのFedora Core 2を元に解説します。
Linuxの持つアクセシビリティの機能の多くは、デスクトップと呼ばれるソフトウェアに依存しています。このデスクトップとはWindowsやMacと同じようにグラフィカルな画面を作り出すソフトウェアのことで、ユーザーはこのソフトウェアを通じてLinuxを操作します。Fedora CoreではこのデスクトップにBlueCurveというソフトウェアを採用しています。
BlueCurveでは「AccessX」からアクセシビリティ機能を設定することが出来ます。主にキーボード操作の設定で可能です。画面を拡大するソフトや点字を表示するソフトなどもFedoraCoreでは利用できるようになっています。
Linuxの魅力は多くのソフトウェアが無料で公開されていることです。アクセシビリティの向上に役立つソフトウェアの多くもインターネット上に公開されています。
視覚障害者向けの音声読み上げソフトウェアなども公開されているのですが、日本語を利用するためには別途音声処理のためのソフトウェアを購入する必要があり、残念ながら全て無料でそろえることは出来ません。
その他にも多くのソフトウェアが作られていますが、日本語の環境に十分対応したものは少ないのが現状です。
一方でサポートを受けることが難しい点が挙げられます。有料で販売されているディストリビューションではサポートを提供している場合がありますが、多くはインターネット上にある情報を元に自分で設定するか、ユーザー同士のコミュニティで質問するなどして解決していく必要があります。
周辺機器の接続に関しても同様です。コンピュータと周辺機器を接続するためのドライバはメーカから直接提供されることが多くなりましたが、障害者用の機器は対応していないのがまだ多いのです。