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2001年のCSUN —2003年に向けてみなさんがんばりましょう−

山本 夏江

年々、日本からの参加者が増えるCSUN。今年度は、事前に申し込みをしていた参加者には、CSUNの事務局からランチミーティングがあるなどの日本に対する興味も湧いてきたようです。去年と比較して感じた印象は、実現化に向けてハードも、ソフトもそして社会組織も進んでいる。と感じました。
今回参加して頂いたメンバーは、16名。みなさんいろいろな分野の方がいました。この場をかりて、参加して下さった皆様にお礼を申しあげます。家族旅行のような雰囲気のある今回のツアーは、なんとなく安心できるものがありました。
さて、今回の会議に関して、感想を一言でのべると、実用可能を前提に試作品を作っているのが多かったような気がします。おそらくリハビリテーション法508条を意識している結果ではないでしょうか?今回は、508条を意識したセッションも多く、海外に製品を送り出している日本のメーカにも興味深い内容があったと思われます。
508条による影響として、2003年から、政府が認証したアクセシブルな製品には、ロゴをつけることができます。公の機関(学校や、役所)は、このロゴがついている商品を優先的に採用していくでしょう。

訪問先1
Computer Access Center:http://www.cac.org/

今年は、UDITツアーとしてCACに訪問しました。代表のMary Ann Glicksmanさんに案内され多くのスタッフが暖かく向かえてくれました。CACの活動も多くの方に認められ支えられて活発になってきています。CACの卒業生は、一般会社に勤めたり、そのままCACでスタッフとして働いたり、障害児の教育プログラムを教えている団体や学校へ行って教えるなど、あらゆる場で活躍をしています。CACにおける新たなプログラムとして障害児の教育から就職の指導まですることになり、CACで教育を受けた人の中で就職希望者の約80%が就職しています。CACでは、従来の障害児の支援教育はもちろんのこと、今後就職できるようなトレーニングにも力を入れて多くの障害者が就労できるようにしていくようです。またCACでは、支援機器の充実もはかり、多様な障害に応じた支援機器、ソフトのトレーニング方法から使い方の応用まで指導しています。
参加者の方は、初めて見る機器や、日本とは異なる、組織運営などに感心を示されていました。今後、日本で活躍してゆくツアー参加者の皆様にとって日本でどのような場にCACのモデルを生かしてくださるのか興味深いです。

訪問先2
The CART Center for Applied Rehabilitation Technology

通称、CART(カート)は、1888年に創立された、Rancho LosAmigos National Rehabilitation Centerという歴史のある病院の中にある施設です。大変広く古い病院なので迷路のような環境です。
CARTはその病院の中にある施設の1つで、スタッフは、20人ぐらいですが、大学関係、医者などが常にスタッフとして参加。1人の患者に対してOT、カウンセラー、技術エキスパートなど6人で対応しています。CARTにくる人はすべて病院の患者です。モデルハウスが1つあり、退院したあとの家庭内でのすごし方などを実際にモデルハウスの中で訓練することから、パソコンのトレーニングルームなどの環境が整っています。支援機器もあらゆるものがあり対応できています。(CARTでは、聴覚、視覚障害の患者は扱っていない)。一度退院して家庭ですごしてまたCARTに戻ってきてトレーニングを受けることもできます。ここで、トレーニングをした人が、CACなどでさらなるトレーニングを受けて活躍していくのが理想でしょうか。

訪問先3
ロサンジェルス州立小学校 COWAN AVE SCHOO

突然の訪問で決まった小学校です。ここは、大変ユニークな教育を行っています。何がユニークかというと、統合教育を積極的に取り組んでいる公立の小学校なのです。
Inclusion Specialist (インクルージョンスペシャリスト)とう方がいて、ISの指導のもと先生は、健常児と障害児が同じ教室で授業が受けられるように指導を受けながら授業をしてゆきます。このインクルージョンスペシャリストは、まだ少なく97年から今までロサンジェルス州で50人程度しかいないそうです。今後このISの必要性を要求されていることから、州政府は増員にとりくんでいます。しかし、ISを育てるのは、経験豊かな教師でかつ障害者についての知識などを求められるのでなかなか人材が育っていかないのが現実のようです。
実際に授業を拝見させて頂き一番驚いたのは、障害児に付き添う人の多さです。必ず1:1以上の環境が提供されており、パソコンも寄付されています。この学校では、パソコンなどの支援機器は、すべて寄付で賄われています。もちろん地域や、学校によっては、障害児の家族が負担するケースもあるそうですが、訪問した小学校では、寄付などの運営がうまくいっているようです。障害は、様々で脳性まひの子供や聴覚障害の子供などみんなそれぞれレベルのあった教室でみんなと一緒に勉強をしています。
日本の教育現場には、まだ見られない光景です。

CSUN会議ですが、あまりにもたくさん内容があって困ってしまいます。とくに印象に残ったものをあげましょう。
Federal Government's Accessibility Standards And Approach(Section 508)
508条に関しては、弊社の関根がバッチリ19日のプレセッションからワシントンD.Cまで追っかけて聞いているのでそちらから報告してもらうことにしますが、この報告のサブタイトルにもした2003年から行われるロゴステッカーを貼る。という行政の動きは、少々アメリカにしてはおとなしいのですが、このことを知らない日本の電子機器メーカなどにとっては注意すべきことかと思います。日本政府に対してもこれは早急にとりくまなければいけないものの1つではないかと考えます。このロゴ効果が経済政策の1つともとれるからです。一般向けのソフトなどにもこのロゴマークが貼られてゆきます。その効果はどれくらいになるか分かりませんが、マーケティングの上手なアメリカが利用しないわけがないと思うのは、私だけでょうか?

以上簡単ではありますが、私のCSUNの感想とさせて頂きます。


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