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2003年CSUNツアーレポート:国保祥子(4)

CSUN大学視察の感想

ホテルからバスで1時間ほどのCSUN大学(California State UniversityのNorthridge校)へ見学に行きます。 ここにはStudents with Disabilities Resources(http://www.csun.edu/cod/sdr/index.htm、以下SDR), the National Center on Deafness(以下NCOD), the Center of Achievement for the Physically Disabled (http://hhd.csun.edu/kin/KINcapd.htm、 以下CAPD), Programs for speech communication, Working with children with disabilities, Mental health programs など、30以上の障害に関するプログラムがありますが、今回はSDR、NCOD、CAPDの方に話を聞きました。

手話通訳を介して話を聞く

まずは障害を持つ学生のためのサポートセンターであるSDRのSusanと、聴覚障害を持つ学生のためのサポートセンターであるNCODの Kristinに話を聞きます。二人が前に立ち、それに向かい合う形(つまり最前列で我々と同じ向き)でKristinのための手話通訳がつき、 Kristinの手話を読み上げたり、周りで話されていることをKristinに訳したりをしていました。 最初にざっと全体説明を聞き、その後質疑応答です。
CSUNに入学した障害を持つ学生は、SDRに自分の障害に関する公的証明書を提出することでSDRのサービスを受けることが出来るようになります。 SDRは州のファンドから資金提供を受けており、障害を持つ学生が障害を持たない学生と競争しうる環境を提供するために必要なサポート(e.g.授業や図 書館への公平なアクセス)を提供します。 ここでは学習障害をもつ学生のためのサービス、精神障害をもつ学生のためのサービス、アクセシブルフォーマットを必要とする学生のためのサービス、ノート テイカーを必要とする学生のためのサービス、コンピュータアセスメントと研修サービスなどがあります。2003年3月現在、SDRには一般的なカウンセ ラーに加えて学習障害スペシャリスト、メンタルヘルススペシャリストなど全部で13人のスタッフがいて約857人の学生をサポートしているそうです。
個人的にはCareer Serviceの話が印象的でした。障害を持った学生のキャリアゴールの設定を助けるために、ジョブカウンセラーがいるそうです。そのカウンセラーとのイ ンタビューを通じて、自分に何ができるのか、将来何になるのかを考えていきます。ちなみにこのジョブカウンセラーは資格を持った人ではないようなので、 ジョブハンティングのエキスパートというよりは、障害学生の理解とその就職支援の経験を重視しているのかな、と思いました。
それと聴覚障害を持つ学生のためのノートテイクのサービスがあるのですが、それが有償ボランティアと無償ボランティアがいて学生は好きなほうを選べるよう になっており、有償の場合は学校からそのノートテイカーに賃金が払われ、無償の場合は同じクラスにいる学生にノートを見せてもらうような形になります。責 任感のある仕事をしてもらうには有償ボランティアのほうがいいのでは?という質問をしたのですが、Kristin曰く無償ボランティアのほうが良いときが あるそうです。というのも無償ボランティアの方が授業の中身そのものを理解しているからだそうです(だってその授業を受けている学生なのですからね)。面 白いと思いました。
その後キャンパス内を学生ガイドに案内されて回ります。大学にはいろいろなところに普通にアクセシブル機能があり興味深いものでした。

次はCAPDに移動。CAPDは、CSUN大学にあるadapted and therapeutic exerciseコースの実習の場、また障害学生のセラピーの場として設立されたものです。 adapted and therapeutic exerciseを学ぶ学生はここでトレーニングの実施訓練を行う一方で、障害のあるCSUN学生は利用者としてここでセラピーを受けることができます。 この施設には一般も受け入れており(但し使用料を徴収する)幅広いサービスを提供します。これは完成したばかりで、我々の訪問した翌日にオープニングセレ モニーが開催される予定になっているくらい出来立てほやほやでした。初の視察受け入れということで、案内をする先方にも気合が感じられました。
そのCAPDの目玉の一つが療法用のプール設備です。複数ありますが、圧巻は底が移動して深度を変えることのできるプールでした。車椅子で進入す ると徐々に床が下がっていき、脇から水が流れ込むしくみになっています。他にも水温調節のされたプールや、セラピールーム、ジムなどの施設があります。

このフロアの床が下がり脇から水が入ってプールになる


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