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韓国UD会議 3日目

11月10日

朝から「高齢者と環境」「障害者と環境」「子供と環境」の3つのエリアに別れてセッションが行われた。障害者のセッションには、国内のさまざまな障害者団体の関係者が呼ばれているようで、車椅子や杖の方も目についた。障害者の代表として、視覚障害の方や杖ユーザーが韓国におけるUDの必要性について力説されていた。ただ、電動車椅子や盲導犬はみかけなかった。手話通訳もついており、手話で質問に立った長髪のかっこいい青年はデザイナーだと言っていた。就労も進んできているようだ。各企業の女性の割合は1割、障害者は1%というので、それなりに就労の努力もされているのだろう。ただ、まだ圧倒的にマイノリティだと思われる。

高齢者のセッションは、古瀬さんのしか出なかったがこれも満席であった。 
もっとすごかったのが子供のセッションである。昨日のオープニングさえ満席になっていなかったのに、今日はこのオーディトリアムが立錐の余地もないくらい埋まっている。カトリック系のシスター、チマチョゴリの教師たち、そして会場を埋め尽くす、膨大な数の女子学生。。。。最後にしか席につけなかったので、通訳を聞けず、韓国語の発表はよくわからなかったが、子供を取り巻く環境の変化に真剣に対応しようとしているのが感じられた。特に、最後のQAで、子供を環境政策策定にどこまでかかわらせるかというバークレーに実験に関しては多くの質問が寄せられていた。「2歳の子供でも意見はある。10歳になれば、好きかきらいかという質問をきちんとシステマティックに作れば、ちゃんと意見は取れる」という解答であった。
午後のJim MullerのセッションはいつもながらUDの7原則を豊富な例示で見せていてわかりやすかったが、前後がGenderの問題にはさまれていて、両方ともとてもコンセプチュアルな話だったので、すこしかわいそうだった。

最後のCoco Rainesの視覚障害者に配慮した美術館の話もよかった。彼女はBostonでオフィスを構えているがフランス人なので、主にフランスの美術館をコンサルしているようだ。触れる彫刻を増やし、絵は浮き彫りにして触れるようにし、点字と明白なコントラストの案内板で読みやすくし、というさまざまな配慮が豊富な写真で示されていた。やはりプレゼンは写真が多いほうがいいと実感。
デモも見に行った。家具売り場にはチマチョゴリの美しい女性たち。子供用遊具やパソコンソフトのコーナー。建築のデザインモデルもある。会場で李先生が、市長さんにせっせと説明していた。さっきセッション会場で司会していたと思ったのに。自分の発表も、モデレータもしていた。本当にこのセッションは、李さんあってだったと思う。これも韓国の女性の新しい生き方だと思った。 

チマチョゴリの美しい女性説明員ハイパー家具の数々

ソウル市長も熱心に見ていた

わたしはUDを考えるときに、Genderの問題としては考えてこなかった。USでもそうだとは思っていなかったのだが、役割分担が女性に課してきた重荷はたしかに大きなものがあると思う。働いて経済力を得たい、発言力をつけたいと思うとき、まちやものが女性に使いやすくできていないことから来る不利益は、実に大きなものがあるのかもしれない。都会で、働いていて、子供がいないわたしには、全くわからないようなことが、きっと地方で子供を抱えてそれでも働きたい女性たちにはあるはずだ。もっとUDも、視野を広くしてもいいのではないかという気がした。

夜は積水ハウス顧問の山根さん、古瀬さんと3人でホテルそばの焼肉屋へ。なかなかよかった。その後はホテルのバーで飲む。山根さんの人生は、草分けとしての女性の働き方を見事に現していて、私にはとても参考になった。そう、20年前には日本の企業では女性はこうやって道を切り開いてきたのだった。。。今ではわたしは働くことに何の疑問も不都合もないが、ここに至るまでの道のりを切り開いてきた先人たちのことを、どこかで知る必要があるのだと思う。UDも同じかもしれない。


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