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2006年CSUNツアーレポート:今井朝子(1)

1.CSUN会議の全体の傾向

2006年のCSUNには、約30カ国から4500人が参加し、展示ブースは175あった。新たな傾向は高齢者に関するセッションが設けられたことであった。しかし学習障害や、肢体不自由に関する発表レベルに比べると、発展途上という印象の発表が多かった。また、支援技術そのものの発表と共に、その運用に関する発表が多く見られた。「真の目的は障害者自身が社会で自由に活躍できるようにすること」であり、それを実現するためには、道具とそれを使う環境が整わなければならないという点が強調されていた。現実社会の問題を解決するためには現実的な解が必要である点が強く訴えられていた。
また、アメリカではPDA向けの支援機器や支援アプリケーションが多く見られた。これは、PDAのAPIが公開されており、様々な企業が自由にアプリケーションを作成できることが影響していると考えられる。日本では、携帯電話が携帯型のデバイスとして主流であるが、プログラミング環境が整っていないため、点字キーボードなどの多様な入力デバイスの接続や、スクリーンリーダーなどの多様な支援アプリケーションの搭載が難しいという問題がある。
更に、今までは支援技術は障害者を支援するものと捕らえられていたが、より多くの人の生活を豊かにする道具として位置づけようという試みが始まっていた。今後はAT(支援技術)とUD(ユニバーサルデザイン)の分野で培われた知見が広く使われるようになると考えられる。
現在のところUDに関しては、日本は世界的にも優位なポジションにあると考えられる。国際的な活動を通して、その優れた成果と活動を世界にアピールし、人々の生活を豊かにする活動に寄与していくことは、日本の研究と産業の独自性を世界に認知してもらう上で重要であると考えられる。


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