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2007年CSUNツアーレポート:関根千佳(2)

3月18日 ハーバード大学の障害学生支援

今日はハーバード大学の障害学生支援センターへ行く日だ。私以外のみなさんは、ハーバードの前にMITへ行ったようだ。私は寒さにおじけづいて後から合流する。MITはもう何度も行っているので、こんな寒い日に川端を歩く気にはなれない。猫はコタツで♪、違うか(^^;)。でも、寒かったけど美しかったようだ。一度は見ておくべき場所だと思う。

ハーバード大学は、世界の頭脳を集める場である。18,000人の学生に対し、300人が障害を持つという。学内の地図を見せてもらったが、アクセシビリティを確保するよう最大限の努力をしているのがはっきりわかる。歴史的建造物も多いので、雰囲気をこわさないよう配慮しつつ、自分で移動出来るところ、アシスタントが必要なところを明示してある。

マリーとハーバードで障害学生支援センターのトップ、マリー・トロティアとは、わたしはロード・アイランドやブラジルで2度会っている。彼女自身も障害者である。アメリカとしては企業や大学のエグゼクティブに障害を持つ人や女性がいるのは当たり前なのだが、彼女から今年就任する28代目のハーバードの総長が、女性であると聞いて驚いた。日本で東大に女性総長が誕生するのは、いったい何年先だろう?例えば盲ろうの福島先生が、障害学生支援センターのトップになる可能性は数年後かもしれない。だが総長になる可能性は?いろいろ考えてしまった。

障害を持つ学生に対する支援はCSUNなどと同様で、視覚障害の学生にはデジタルデータにスキャンするサービス、聴覚障害の学生にはノートテイクと手話のサポート等があった。18,000人の学生の中で障害を持つ学生は約300人であるという。建物のアクセシビリティは、一人で移動できるかサポートが必要か、の情報が一目でわかるキャンパスマップが準備されていた。徐々にオンラインでも情報提供を行うという。歴史的建造物の多いハーバードでさえここまでやっているのだから、日本の新しい大学ができないというのは、言い訳のような気もする。
だが、CSUNの中では有名な情報保障のネットワークであるEASIや、ワシントン大学が行っているDOIT、障害を持つ高校生に対する支援などのプロジェクトを、マリーたちがあまり知らないようだったのは少し意外だった。東と西では違うのかもしれない。

松尾先生が、マリーに「障害学生に生活の仕方をどうやって教えるのか?」と聞いた。日本では高校まで親元や養護学校の寮で暮らすことが多く、一人でアパートを借りて新生活を始めるのはなかなか大変だ。だがこの質問は、アメリカの環境では理解しにくいものかもしれなかった。
「生活の仕方、ですか?もちろん高校生は、それは当然身につけてから受験してきますけど。。。。??」質問されたことの意図がよくわからないようだった。

アメリカでは、18歳で自立し、完全に独立した人格とみなされる。親は学費までは出すこともあるが、基本的にはそれ以降は自分で稼ぎ、自分の意思ですべてを決定していく。 豪華な中華料理家を出てアパートを探し、自分で生活を始めるのは当たり前だ。若い障害者も、一人で生きていくための基本的な学習を18歳までに終えているのが普通なのだろう。大学へ入るためには、一人で生きる術、大学で授業を受けるために必要な支援を要望する技術を知ってから受験する。DOITは本来そういうことを高校生に教えるための組織だった。きっとそのノウハウが、全米に行き渡り、ハーバードを受験する学生は自立生活ができるということなのだろう。大学は学問をするところであって、生活の仕方を教えるところではないのだ。

午後はボストン美術館へ行く。とても半日では見終わるのが難しいくらいの大きさだ。フラッシュや三脚を使わなければ写真撮影も可というのを知らず、館内では一切写真を撮らなかったのが悔やまれる。

帰りはメトロで戻ったが、が〜ん、私が朝乗った、コプレイの駅ではアクセシビリティがない!アムトラック乗り換えもある交通の要衝なのに・・・。何度か行きつ戻りつして、結局ホテルに帰るのをあきらめてまっすぐチャイナタウンの中華料理に行った。ここでも豪勢なシーフードを食べる。


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