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2007年CSUNツアーレポート:関根千佳(5)

3月21日(その1)セッションが始まる

今日からセッションが始まる。ブレックファスト付きのオープニングセレモニーは、今年はジョン・ケンプの講演だった。彼は、ものすごく強いメッセージを送る人だ。彼のように四肢欠損で両手・両足義手義足で大活躍する当事者というのは、もっと日本でも増えていいはずである。Our presence leverage others. というメッセージが心に残った。「われわれの存在が他者を動かす」とでも訳せばいいだろうか。実際にそのとおりだと思う。障害者の存在が、障害を持たない人にも、これから障害を持つ人にも、大きな意味を持つことに、人はあるとき、気づくのである。また、もっとSexyで魅力的な製品を市場に、というメッセージにも同感した。これは笑いをとるためでもあったのだが。

フック船長はかっこいい!ジョン・ケンプのオープニングスピーチ

講演の後、名刺交換に行った。かばんから実に巧みにあの義手で名刺を取り出す。握手を求められると、最初はちょっとどきっとした。シザーハンズの映画じゃないけど、やっぱりあのはさみの手は、まじかに見て、握手すると、始めは少しびびる。でもすぐに慣れた。なかなかよく動く手だ。現代のフック船長はかっこいいな。しかし、こういうときに、私は一瞬で自分の何をプレゼンスすべきか、迷う。キャリアなのか、今やっていることか、日本の状態なのか、今後の世界への提言を聞くべきか・・・

この日は一日、新しいトラックとして準備されたルネッサンスホテルに居すわった。100ドルで可能なシニア向けITというセッションなどは満杯だった。Dundee大学のノーマン・アルムは、昨年のリンツで見せてくれていた認知症のシニア向けのシステムを発表していた。

ドコモさんの発表1ドコモさんの発表2午後はNTTドコモさんの二画面携帯の発表である。世界初の、オートスキャン機能付きスイッチ入力可能というこの携帯は、多様なユーザーのニーズに応えられる、画期的なものだ。なかなかその本質を個々のユーザーに伝えるのは難しいところもあるが、息長く続けて欲しいモデルである。実際、CSUNでの反応はすごかった。どうしてアメリカで売ってくれないのか?代理店はないのか?英語で何とか使うことは出来ないのか?世界標準として出してくれ、などなど、全然、質疑が終わらない。米国シニアネットの担当者も興奮している。こんな端末があれば、アメリカのシニアもつかいにく〜いもので苦労しないのに、と彼我の差を嘆いている。

実際、そうなのだ。いまや、日本の携帯電話のユニバーサルデザインは、世界一だと言っていい。ノキアもサムソンも、まったくついてこれていない。音声読み上げが可能な携帯電話はまだまともなものはなく、米国の視覚障害者はPDAを使っている。今回の二画面のように、プログラマブルでカスタマイズも可能で、それでいて、ビジネスマンも女子高生も使えるというUDな機器は、世界にまだ存在していないのである。残念ながら、世界で一斉発売、とはならないため、なかなかこの先進性は世界では理解されていないのだが・・・


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