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X8341-5

JIS X8341-5 「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス-第5部:事務機器」はX8341シリーズの中で最も新しい規格で、2006年1月に制定されました。
この規格の対象となる事務機器とは、「オフィス用の複写機、複合機及びページプリンタをいう」と定義されているように、主に事務所など複数の人が使う環境 で利用される事務機器を想定して作られています。近年は複合機などは小型化が進み個人で利用する例が増えてきましたが、そのようなケースはこの規格には含 まれていません。しかし各社とも個人利用の機器に関してもユニバーサルデザインに取り組むようになってきていますので、個別に対応していることもありま す。

経緯

次にこの規格の構成を説明します。下に示したように全体で6つのパートに別れています。第1部の構成に非常によく似ており、規格の一貫性が保たれていることが分かります。

1.適用範囲
2.引用規格
3.定義
4.一般的原則
5.操作に関する要件
6.企画・開発・設計の基本的要件
附属書1
附属書2
解説

1~3は、JIS規格では共通している記述ですので、ここでの説明は省きます。適用範囲に関しては事務機器に関する定義を参考にしてください。

4.一般的原則には基本方針、基本的要件、推奨要件の3部から構成されています。基本方針では、企画・開発・設計の段階で高齢者・障害者への配慮を求める ほか、製品の評価や情報のフィードバック並びに安全性を求めています。基本的要件では、視覚や聴覚に障害のあるユーザーや車イスを使っているユーザーなど 身体的機能に関する基本的な要件を定めています。推奨要件では、文化的な背景の違いや初心者への配慮が書かれています。

5.操作に関する要件では、仕様への適用範囲や情報アクセシビリティ機能に関する代替手段、表示や入力に関する要件や、機械的な仕様、メンテナンスやセキュリティなど実際に設計をする際に必要な情報が定められています。

6.企画・開発・設計の基本的要件では、アクセシビリティ情報の公開や利用者からのフォードバック、サポートに関する要件などが定められています。

附属書1(規定)では機器を操作するときの標準的な操作の範囲とそのタスクの範囲を、基本機能及び操作範囲として規定しています。ここで規定した事務機器 の基本機能は4.2基本的要件で定義されたユーザーが操作できなければなりません。なおこの附属書は規定なのでJISに準じる文書として扱われます。

附属書2(参考)では、附属書1と同様に機能と操作範囲を定義していますが、拡張的な機能に関して説明しています。こちらは参考なので規定の一部としては扱いません。

特徴

この規格が他の8341シリーズと比べて特徴的なのが、車椅子へのユーザーへの対応が非常に詳しく解説されている点です。他のシリーズが対象としている製 品が、デスクトップや持ち運びが出来るサイズなのに対して事務機器はサイズが大きく簡単に位置や高さを変えることが難しいからです。操作の際に車椅子での アプローチできるかや、操作パネルに手が届くかなど、物理的なバリアが大きな問題としてあります。

もう1つ特徴的なことは、この規格がX8341シリーズとの整合性を取ると共に、米国のリハビリテーション法508条(以下508条)に対しても整合性を保っている点です。
事務機器については世界でほぼ完全に日本企業が市場を独占しているので、海外との法律・規格との間に違いがあると、メーカーにとってはダブルスタンダード になりそれぞれの法律・規格に対応するために2度手間になってしまう可能性があります。これは日本企業の国際競争力を削ぐことになってしまうので、これを 避けるためにリハ法508条との整合性を取る必要があったのです。
リハ法508条以外にも各国のアクセシビリティの法律・規格が整備されてきているので、この規格を策定したJBMIA(社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会)では、ISOの積極的に国際規格への提案を進めています。

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