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JIS X8341シリーズ解説

はじめに(X8341とは)

弊社は、初期段階からJIS X8341シリーズの策定に深くかかわってまいりました。弊社のユニバーサルデザインとアクセシビリティに関するノウハウ・成果を、規格の策定段階から提供してきました。弊社会長兼シニアフェロー 関根千佳は、X8341-1共通指針の策定に参画し、濱田英雄はX8341-3の策定WG主査として、また榊原直樹はX8341-4のWG委員として規格にかかわりました。また現在は、X8341の普及、運用、コンサルティングに積極的に取り組んでおります。

この記事では、JIS X8341シリーズをご理解いただき、高齢者・障害者に使いやすい製品・サービスを開発する際のガイドを提供することを目的としております。

なお、X8341シリーズについては個別の解説ページを設けておりますので、そちらもご覧ください。

JIS X8341とは

JIS X8341「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器,ソフトウェア及びサービス」は、ISO/IEC Guide 71[1] (JIS Z8071:2003[2]) に基づいて開発された情報通信機器分野のアクセシビリティガイドラインです。2007年5月現在で、Part1共通指針を含む、5つの規格が制定されてい ます。

  1. X8341-1 共通指針 (2004年5月)
  2. X8341-2 情報処理装置 (2004年5月)
  3. X8341-3 ウェブ・コンテンツ (2004年6月)
  4. X8341-4 電気通信機器 (2005年10月)
  5. X8341-5 事務機器 (2006年1月)

X8341-1 共通指針は、情報通信機器全般における配慮すべき事柄について定めており、X8341-2以降はそれをさらに特定の分野に適応させた具体的な内容になって います。X8341-1 共通指針では、各分野の規格がある場合はX8341-1とともにそれを、存在しない場合はX8341-1 を参照することを定めています(1. 適用範囲、備考3)。したがって、たとえば高齢者・障害者に配慮した携帯電話を開発する際には、X8341-1とX8341-4を参照することになりま す。この図は、ここで解説した規格の関連を示したものです。

JIS X8341シリーズの構成図

 

シリーズ各規格の概要

シリーズの各規格は、以下のような適用範囲を持っており、各策定団体が設置した委員会等で、ISO/IECガイド71に基づいて開発が行われました。2007年6月時点では、各規格の国際化も推進されており、X8341-4はすでにITU-Tの勧告F.790として国際規格化されています。

X8341シリーズの概要と国際化
シリーズ 適用範囲 策定団体 国際化
X8341-1 共通指針 あらゆる、情報通信における機器、ソフトウェア及びサービスに共通する指針、個々の規格が存在しない場合は共通指針を参照する 日本規格協会情報技術標準化研究センター(INSTAC) 情報バリアフリー標準化委員会 ISO9241-20として2007年に国際標準化
X8341-2 情報処理装置 情報処理装置PC(ハードウェア、ソフトウェア) 、以下の機器にも適用することが可能周辺機器:ディスプレイ、スキャナ、プリンタ公共機器:ATM、KIOSK
JEITA:電子情報技術産業協会
ISO/IECJTC1/SC35で審議中
X8341-3 ウェブ・コンテンツ 利用者がウェブブラウザを用いて利用する情報・サービスを指し、適用範囲に以下を含む.インターネット.イントラネット.ウェブ技術を用いた電子文書・電子マニュアル.ウェブブラウザを用いて操作する機器 日本規格協会情報技術標準化研究センター(INSTAC) 情報バリアフリー標準化委員会 W3C/WAI/WCAG2.0と協調
X8341-4 電気通信機器 固定電話機、携帯電話機、ファクシミリ、テレビ電話等の電気通信機器※複合した新概念の電気通信機器も従うことが望ましい※交換機等の設備や電気通信サービスは対象外 CIAJ:情報通信ネットワーク産業協会
ITU-T SG16にてF.790として国際標準化
F.790
X8341-5 事務機器 事務機器:オフィス用の複写機,複合機及びページプリンタをいう。複合機とは,JIS X6910の定義による JBMIA:ビジネス機械・情報システム産業協会
ISO/IEC 10779として2008年に国際標準化

(注: この表は、「X8341シリーズ概要説明PDF版」(INSTAC)を用いて作成しました)


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