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2008年シリコンバレーとCSUNツアーレポート:関根千佳(7)

3月12日 セッション開始

画像:やっと入れた朝のキーノート セッションが始まった。昨日のうちにレジストレーションは済ませておいたので、心配はなかったのだが、いざ朝になってみたら、30分寝過ごした。やばい、 あと15分しかない。あわてて身支度を整え、会場へ向かった。今回、CSUNはこれまでのマリオット+ヒルトンから、マリオット+ルネサンスに変わってし まった。で、JTBさんの希望で宿泊はこれまでどおりヒルトンなので、ルネサンスまでは歩いて10分以上かかるのだ。毎回となると、ちょっと厳しい。会場 へ急いでいると、どんどん人が戻ってくる。「どうしたの?」「いっぱいで入れないのよ!」状況が良く飲み込めないまま、とりあえず行って見る。おや、去年 までなら、あの巨大なヒルトンのBall Roomで、立ち見もOKだったのに、今年はルネサンスでは立ち見ができないように、「立ち入り禁止」になっているのね。外にも聞こえるようにスピーカー は設置してあったが、これが途中で途切れる。たしか、サイトにビデオオンデマンドで中継するって書いてあったはず。。。空いている端末で確認していたら、 「お客様、それはレジストレーション用の端末ですので」やんわり断られる。
画像:世界のリーダーたち 結局、知っているカンファレンスマネジャーに交渉し、会場の中には入れてもらったが、なんとなく寂しかった。ヒルトンの労働争議が問題なのはよくわかるの だが、キャパを考える必要はあるだろう。遅れてきたら会場に入れない、という経験をした参加者が、来年も来てくれるかどうか、わからないという気がした。


画像:aiBroeserの機能 今日から、まじめにセッションに出る。シンシア・ウォーデルのWebアクセシビリティは、相変わらず元気一杯で、お客さんも陽気である。一般的ではある が、初心者の多いセッションでは充分なレベルだろう。今日の話の中では、IBMの浅川・高木コンビ(もうCSUNでは常連だなあ)の aiBrowser が面白かった。Flashを多用したリッチコンテンツを正確にアクセシブルにするのは、確かに難しい。たいていの読み上げソフトは、その音声が映像や音楽 コンテンツからの音声とバッティングしてしまう。どちらの音声もきちんとコントロールしながら処理を進めるというのはこれまでは無理なことだと思われてい た。で、私は知らなかったのだが、どうやらWindowlessというオプションが、このコントロールにかかわっているというのだ。デモが止まったりし て、内容を詳しく把握できなかったのは残念だが、ディズニーなどのサイトを例示しながら、音楽やナレーションのたくさん入った動画コンテンツを、視覚障害 者が自分のコントロールのもとで扱う方法を見せてくれた。まだ試作段階だというが、こういった新しい発見があるのがCSUNの楽しみだ。

眺めてみると、今回も、IBMの発表が多い。3270エミュレーションのアクセシビリティ、なんて、超なつかしい言葉だろうと引かれていってみる。これっ ていわゆるダム端末のことだ。若い人にはぴんとこないかもしれないけど、かつて、コンピュータが大型だったころ、その機能を使うための端末は、インテリ ジェントなものではなく、単なるディスプレイだったのだ。電源を切れば何の情報も残らないものだった。ま、今のシンクライアントみたいなものだ。で、何で 今頃、IBMのフィル・ジェンキンスがこんな発表をしているかというと、未だに多くの企業や自治体では、このころのシステムを使い続けているというのであ る。そりゃそうだろう。当時は基幹システムの中枢だったはずだ。一日も止められないシステムも多かっただろう。人事や会計など、純粋に社内用のシステム だったものも多いため、イントラに乗せる必要も無く過ごしてきたものもあるだろう。
で、そのレガシーなシステムも、508条の下にあるのだから、アクセシブルにする必要に迫られているというわけだ。Javaに作り直すためのツールを3つ ほど開発しているという。HATS(Host Access Transformation System)というツールが面白かった。もとの3270の画面UIをあまり変えないまま、Web上のアプリとしてもアクセシブルにコンバージョンするも のだ。古くから使っていて、それしか使えないシニアユーザーのことを考えれば、こういったツールも存在していてほしい。508条のカバーする範囲は一般企 業ではないが、雇用されている障害者の数や担当者の高齢化、およびシステム保守の観点からも、統一してアクセシブルにしたいと思う企業のシステム担当者も 多いだろう。実際、企業のシステム担当者らしい人がたくさん質問していた。

画像:iPhoneの字幕呼び出し方法 携帯電話に字幕を付けるというセッションも面白かった。米国のすべての携帯電話は、キャプション表示のオプションを持っているそうだ(日本ってどうだっ たっけ?)。で、もともとのコンテンツも、2007年以降は字幕があるのが当たり前だから(日本は字幕付与可能番組だけなので総計するとかなり少ない)、 携帯で流したってやっぱり字幕はでる。
画像:iPaqでの字幕例は結構きれい! Blackberry, iPhone, Sprint TV, PAQなどの携帯電話やPDAでの字幕は、パワポで見ているよりも、実際に手で持って見るほうがはるかに見やすかった。自分で光の反射など画面の状況を調 整できるので、全員で見る固定のテレビよりラクかもしれない!これも508条対応なのだと思うが、なんだか、深いところから、UDが浸透してきているのを 感じる。新製品の研究・開発の段階から、アクセシビリティは当然のことになっているのだ。

画像:きれいで美味しいシーフード 夕食はシーフードレストランへ。海のフルーツというきれいな名前の一皿は、とても美味しかった。


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