Home » レポート » ツアーレポート » UK & US ユニバーサルデザイン紀行 » 3月9日 (その1) ロンドン RCA DesignAge

3月9日 (その1) ロンドン RCA DesignAge

Roger Coleman氏と建築研 佐藤氏

さて、今日は英国最大の目的であるRoyal College of ArtのDesignAgeを訪ねる日である。Roger Coleman氏には、どうしても会っておきたかった。
デザイナーへの教育プログラム、マスコミへの概念の伝え方、権利問題としてではなく、市場の問題としてとらえる方法に、興味があったからである。
実際、本やビデオの数は多岐にわたった。10年の実績、ここでもそれを感じた。UDとは違う概念といったほうがいいかもしれない。完全にアクセシブルでありながら、それを決して主張しない美しいデザインというものを、ここでは目指している。ごくごく普通の人々が、家で普通に使うグッズは、高齢者にも当然使いやすくないといけない。できれば障害者にも。それが当たり前のデザイン指標として考えられるようになれば、きっとさまざまなものづくりが変わってくるのだろう。

ただ、ここで私が感じたことの一つに、当事者の参加が少ないということがある。デザイナーグループには高齢者は参加していない。障害をもつデザイナーも聞かなかったがいそうにはない。あくまでお客様なのだろうかという点が気になった。しかし、高齢者グループとの共同作業は非常に大きなウェイトをしめているようだ。

取りやすいジャムのびん(上段). パーティー用にも使えるお皿(下段)

しかし、興味を惹かれた点は他にもある。University for 3rd generationは、まったくバーチャルな学校で、さまざまな立場の人々が協力し合う高齢者向けの大学である。ここで高齢者へのデザインへのセンシティビティを高め、講師であるデザイナーやエンジニアとの交流を図っているのである。まさに、一挙両得だ。双方の必要な情報を交換しあえるのだから。これを日本に輸入できないだろうか? それこそ、RogerやElaine、Greggの講義だって一緒にやることは可能だろう。
Webでできることの例として、これはかなり夢のある話だと思った。また、FutureWorkもまだこれからのプロジェクトである。これはもしかすると、日本から英国に情報発信ができるかもしれない。インターネットの普及率はお互い似たり寄ったりだし、高齢者への情報提供ツールとしては、これから有望であるという認識では一致している。ドイツが熱心なようだ。共通化できる情報は、共通財産として持つこと。

5月にBBCの番組を作るのだと言っていた。NHKのをもってくればよかった。概念を伝えるのにマスコミの力は欠かせない。これからの課題だと思った。

UDのグッズの数々

いただいた資料は全部で10kgくらいあり、日本に郵送することにする。重い資料をかかえて郵便局を探したが20分ほどかかってしまった。料金もガムテープ代などを含めて45ポンド(1万円)!船便でも32ポンドで2ヶ月かかるという。FEDEXにしとけばよかったと思ったがもう遅い。泣く泣く支払ってきた。これでも10日はかかるという。ま、日本に着くのは10日後だからかまわないが。