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3月18日 ロサンゼルス CSUN 3日目

小型の拡大読書機

もうこの頃から、講座に出るより、ロビー活動に精を出すようになる。日本からも多くの研究者が来ているし、海外のメンバーで会っておきたい人も多い。現地の方で、ぜひ会いたいと、ホテルに連絡をくださる方もある。いろんなつながりができ、また広がって行く。
日本ではメールでしか会えず、ここでやっと1年ぶりの再会となる人も多い。いろいろな立場の、いろいろな人が、数日間出会い、情報を交換しあう。いつか、こういったメンバーが、新たに時代を作っていくのだろうか。

展示会はいつもながら大変な人出である。小さな手許の器具で動かす拡大読書機、Wearableな拡大装置、非常に安価な視線入力装置、と、さまざまなデモが、相当数の障害者によって行なわれている。これだけの開発を支える技術力と、販売を支えるマーケットの力の差に、悔しいが脱帽する。Technology Act(テック法)と言われる障害者支援技術法は施行されてすでに10年を経過し、その追加が発表されたところだ。人的サポートの大切さを熟知した人々が、米国の支援技術マーケットを支えている。

安い視線入力装置

この分野も、いつかはUDの影響を受けるのだろう。Greggが予想したように、情報通信は次第に高齢者を視野に入れた、より幅広いものになっていく。そのとき、今の障害者支援技術は、より、ユニバーサルな製品へと変わっていくだろう。もっと広い販路の、もっと安価な入手しやすい製品に。

いつか、このような展示会や学会が、日本でも開けるようになる日を希望する。いや、自分たちで開くよう努力しよう。ATACかもしれない。リハ工かもしれない。情報通信やAACにかかわる研究や機器展示だけで、この巨大なホテルが2つも、覆い尽くされるような時代を、いつか日本でも作りたいと思う。海外と協力しながら、日本独自の価値観も大切にしつつ、自分が年をとって障害をもっても、日本人に生まれたことを後悔しないように。店には私に使いやすい製品が普通に売っていて、町は自由に動き回れるように。ユニバーサルデザインの専門家は、日本ではまだ少ないかもしれない。でも、ことさらにユニバーサルデザインという言葉を使っていなくても、もっと生きやすい社会、使いやすいものやまちを作りたいという同じ思いの人はたくさんいるはずだ。そんな人たちを、少しずつ、糸を紡ぐように、つないでいけたら、と思う。

 

(完)