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郵政とヤマト、どっちが優勢?どっちがヤマ?

 仕事の中で、書類や荷物の授受は頻繁に起こる。ITがどんなに進んでも、物理的なモノの移動は消えない。実験やユーザーテストに使う機材、海外へ行くときの書類・・・。1日に何回もクロネコやサガワ、郵便局の人が訪れる。でも、なぜもっとITを活用しないのかと、首をかしげることもある。 

 荷物の授受に、ずっと担当者が常駐している大企業は困らないのだろうけど、弊社はSOHOだ。社長も出ずっぱりだし、社員も出社していない。配達物がいつも、ちゃんと受け取れる状態ではない。で、帰社すると、郵便受けには不在通知の山が残されている。出張から戻ると、このわかりにくい不在票を、えんえんとプッシュホンで押す作業が始まる。今では面倒くさいので、2件以上ある場合はまっすぐオペレーターに電話するようになってしまった。アナログな解決策だが、プッシュホンの、「○○、ですね」「××、ですね」というかったるい確認音声を聞くうちにいらいらしてくるのだ(カルシウムが足りないのかもしれない)。ネットで入力できて、配達希望時間なんかは1回の入力だけで済むと便利なのになあ。 

 特に郵便局は、不在通知の受け取りは不便極まりない。宅配便よりはるかにわかりにくい不在票で苦労しながら電話をかけても、不在通知の番号だけでは、その郵便物が何で今どこにあるのか、担当者にはわからない仕組みのようだ。取りに行っていいか、と聞いても、所在不明なので来るなと言われる。急ぎの書類を捜しようがない。配達の人がいまどこにいるかも、局ではつかめないという。不在通知が2枚以上入ると、最悪だ。再配達の依頼がどのキーを元に行われているのか、担当者は把握していない。担当者間の申し送りもできていないらしい。ITで真っ先に手をつけるべきアプリケーションのはずなのだが。担当者自身が互いを知らないアルバイトだけであっても、データの一括管理と状況確認はすぐにできるシステムではないだろうか? 

 先日は、社の留守電に郵便局から問い合わせの電話が入っていたので「郵便課の○○さんからお電話があったようですが、何ですか」と電話した。担当者は平然と「うちには○○という者はおりません」と返事してきた。たまたま、携帯電話でかけていたので、固定電話の留守録を再生して聞かせた。「ね、このように、おたくの課の○○さんからかかっているでしょ」証拠を聞いて、担当者は確認するといって電話口で私を待たせた。5分くらい立って、やっと帰ってきた。「朝6時からの人だとわかりました」 

え?だから?それで?私に何の用だったの?それは、会っていないから知らないという! 

 一般の企業だったら、絶対に顧客に対する態度ではありえない。私は絶句を通り越して、あきれはてていた。21世紀のこのIT社会に、ここまで情報の伝達や共有ができていない世界があろうとは!民営化でサービスレベルが低下する、と国民を脅かす前に、求められているサービスとは何か、もっと把握してほしいものだ。 

 宅配便も、けして万能ではない。先日、ブラジル旅行のビザをとろうとパスポートを送ろうとして担当者ともめた。たしかに約款では再発行できないものは送れないと書いてある。でも、現実にはそれで送ってきているのだから返送してもいいではないか。郵便であれば、書留という制度で守られるのに、もっとセキュリティの高いはずの宅配便に、大事なものを預けられないというのはおかしい・。これも国が、郵便局を守りたくて規制緩和していないのだろうか、、などと勘ぐってしまう。 

 情報伝達がITを通じてどんどん加速していく今、物流の世界でもITを駆使した正確な情報管理と顧客中心のサービスが求められているのだ。業界の優勢とこれからのヤマ場を見守りたいと思う。

- 2004年12月3日 「NIKKEI NET」ITニュース面コラム「ネット時評」 -

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