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私が「冬のソナタ」にはまった理由(わけ)

冬のソナタ、通称「冬ソナ」にはまっている。音楽も映像も美しいし、台詞が泣かせる。そしてぺ・ヨンジュンはかっこいい。でも、私がこんなにはまったのは、どうやら「初めて」放送コンテンツをデジタルで扱うことの面白さに目覚めたからなのだ。

共感してみることのできるドラマ

BSでの放送の頃から大人気だったNHKの「冬のソナタ」は、たしかによくできたドラマである。40代以降の女性が、共感してみることのできるドラマは、いま、日本にはあまり存在しない。わたしも、いわゆるトレンディードラマなどに「はまる」ということは、ほとんど無縁の生活を送ってきた。朝の連続ドラマを時報替わりに見るくらいである。 

考えてみれば、テレビを見て泣けるという経験を長いことしていなかったのだ。映画もドラマも、広告で雰囲気がこわれてしまうし。対象も若いヒト向けだし。子どもの頃、親が「氷点」などを見ながら泣いているのを見て不思議だったが、今、テレビであのような文芸もののドラマが放映されることも少なくなってしまった。

テレビとパソコンの融合

冬ソナを、最初は私もそれほど気にしてはいなかった。ただ、何度か見ているうちに、だんだん共感するようになった。若い頃の実らなかった初恋。手をつなぐこともできなかった高校生の頃。今の若いヒトには想像もつかない男女交際に厳しい青春時代を送ったわれわれには、懐かしい光景が甦る。で、私は、全部の放送をデジタル録画したのだ。全20話を揃えて、自分のパソコンで眺めてみる。今は優秀な映像ソフトも多く、液晶ディスプレーで見るとそれなりに美しい。 

はまったのはここからだ。見ている話の中で、高校生の頃の思い出とオーバーラップした映像が出てくる。「あ、あのシーン、第1話でもう1回確認しよう」とデータを止めて、別のファイルを開く。お目当ての場面をもう1回見た後、さっきの話へ戻って行ける。 

「あれ、韓国の法事って、ずいぶん大掛かりなんだな」と思ったら、ネットで検索をする。少し勉強して、また映像へ戻る。「わ、これがあの話題のネックレスか」と思ったら通販サイトで価格を確認する。もちろん家族が帰ってきたら、いったん止めて晩御飯の支度をしてからまた見ることも可能だ。 

「デジタルで放送を見るって、すっごく便利だな」。心から、そう思えるのである。聞いてみると、周囲の女性たちも同様だ。「初めてDVDを買ったのよね。ビデオよりお目当てのシーンが探しやすいじゃない?」彼女たちも情報家電の潜在顧客になりそうだ。この層が、35億もNHKに売り上げ利益をもたらしたのだろう。

良質のコンテンツが情報家電市場を後押しする

テレビとパソコンが連動する。アナログとデジタルが融合する。言葉では意味がわかっていても、それが自分の生活にどんな影響を与えるのか、あまり実感がなかった。だが、今回、私は放送コンテンツをデジタルで見ることの楽しさを初めて知ったのだ。恥ずかしながら、これまで我が家にはアナログのテレビ、VHSビデオ再生装置しかなかった。この夏は大型液晶テレビと大容量HDDレコーダーを絶対買うぞ! 

良いコンテンツがユーザーをひきつけ、それが新しい技術を家庭に導入することにつながり、やっと価値に目覚めて行く。情報家電は、いま、そんなフェーズにあるのかもしれない。さ、今日もヨン様のお姿を拝見しようっと。

- 2004年7月2日 「NIKKEI NET」ITニュース面コラム「ネット時評」 -

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