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これでいいんかい、国の委員会 Part III

今年もまた、来期の委員会へお誘いをいただく時期となった。国は委員会の女性比率を現在の26.8%から2005年までに30%に引き上げる目標を立てているそうだ。意見を聞いていただけるのはありがたいことなのだが、行政側には一人も女性がいないことも多く、委員会における女性の意見が政策に反映されるかどうかはわからない。 

また地方からの参加は少数でほとんど関東圏に限られてしまう。日本の半分以上が雪に埋まっているときも、快晴の霞ヶ関で全体を見た議論ができるのだろうか。ブロードバンドの普及が、在宅の女性や地方の人が違和感なく参加できることを支援してほしいと思う。

黙っている方が得になる謝礼システム

国の委員会に地方の人が参加するのは大変だが、自分が地方の委員会に呼ばれると立場は逆転する。温泉地もある県だな、ま、ふた月に1回くらいだからいいか、と思ってお引き受けすると、大変なめにあうこともある。会そのものは2時間でも、開始時間によっては前泊が必要になることもあるが、宿泊代の手当てはない。もちろん、移動時間は日当の中には入らず、どんなに遠くても陸続きのところは飛行機代の支給はない。県庁の全員が飛行機しか使っていなくても、である。 

さらに、国家公務員旅費規定では、摩訶不思議なことも起こる。通常の委員会では、全額支給される交通費が、なぜかその会で「講演」をしたことになると、源泉徴収されてしまうのである! 最初は冗談かと思った。実際に払った金額である。領収書もある。でも支給額は1割少ない。「講演」の場合は、交通費も謝金のうち、という解釈なのだそうだ。だったら委員会に行っても、黙って座っているだけの方が得になってしまう。この国家公務員旅費規程は明治時代にできたものを修正して使っていて、海外出張も前時代的な内容なので国際的に動いている学者などにはたいへん不評と聞く。公務員はグローバルになってはいけないらしい。

データを宅配便で送る議事録作成

委員会では、議事録確認も大変な作業だ。家に大量のコピーがどさっと送られてくる。これに朱を入れて、何日までに返送しろと、返信用切手を貼った封筒も入っている。送るのに400円、戻りが400円、コピーや発送の人件費、紙で送られてきた「朱」をマスターに書き写す作業の人件費、大量の紙、それがええっと、委員は30人いたから30倍かかる! これは全部税金なのである。私は事務局に電話をかけた。 

「私には、メールにファイルを添付して送ってください。修正履歴をつけて返送しますので」「わかりました」。だが、メールはなかなか届かなかった。ファイルを探しているのだろうか? 翌々日、宅配便が届いた。データが圧縮できなかったそうで、印刷物にフロッピーが同封されていた! これで私は、また税金を900円と森林資源を浪費してしまった。 

メーリングリストで元ファイルを流し、修正結果だけ事務局へ送る。それさえできれば一発で可能な作業を、なぜ人力で、税金でまかなうのだろう。まず公務員がITをきちんと「利活用」できなければ、e-Japanも第2フェーズに入ったとは言えないのではないだろうか?

- 2004年2月20日 「NIKKEI NET」ITニュース面コラム「ネット時評」 -

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