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UDの真髄はプロセスにある その1

ユニバーサルデザイン(UD)の真髄は、それを作る過程、プロセスにある。このことは、まだあまり理解されていない。ものを作るとき、デザイナーはそれを使う人のことを考える。でもその「人」というのが、これまでは健康な成人男子だった。UDでは、さまざまな人とまず、話し合う。ニーズを聞き、意見を交換し、使い勝手について検証を繰り返す。主婦、子供、妊産婦、高齢者、障害者、家電を使うのは、健康な成人男子だけでは、もちろんない。

この過程の中で、デザイナーの思いこみに大きな変化が現れる。先日、東芝のデザインセンターを取材する機会を得たが、東芝のデザイナーも、そのプロセスの中で目からうろこがぼろぼろという体験をしたと、口々に語った。UDとは、デザイナーが多様な人のニーズを理解するプロセスであり、ユーザーが製品開発の過程を理解するプロセスなのである。

その結果が、家電の使いやすさとなって現れてくる。一個の製品では大きな変化は見えないかもしれない。しかし、数多くのユーザーに触れ、その声に耳を傾け、理解を深めて行く中でデザイナーは人間を理解する。そして、高齢や障害の専門家でもある当事者も、User Expertとして、その意見を提案にまで高めていけるのである。

- 2001年3月15日 日経BP ユニバーサルデザインコラム -

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