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これでいいんかい、国の委員会 Part 4

 午前はX省、午後はZ省と委員会が続くと、空いた時間で仕事をする場がなくて困る。霞ヶ関にはどうして無線LANの使えるネットカフェがないんだろう。美味しいエスプレッソも飲みたいな。いや、仮眠室か足つぼマッサージのほうが有難いかも。考えてみたら、霞ヶ関って滞在して楽しい街じゃないよね。ワシントンの中心に比べると。 

 でも本当に、日本の委員会って何のためにあるんだろうか。以前、外資系のコンサル企業から参加していた女性に聞かれたことがある。 

 「ねえ、何の目的でこういった国の委員会に参加するの?日本企業だと箔が付くのかな」 
 「そうね、私の場合は自分の仕事を他に伝えるためと、人脈つくりかな。箔を付けたいとも思わないし、少しでも政策に市民の声が届くといいと思って。」 
 「う〜ん、でも実際に私たちのプレゼンって、政策に影響なんか与えているのかしら?」 

 これには私も自信はない。実際の報告書に意見が反映されるかどうかは、担当官や事務局のさじ加減次第なのだから。ぐっすり寝ていて話を全く聞いてない役人もいる。 

 貢献できるかどうかと同様に、評価も見えないのが国の委員会である。全く何も発言しない参加者の方が多い会もある。発言しなければ不参加と同じという感覚の私には、2時間も黙って座っているほうが苦痛なのだが。どんなに準備して貢献しても、何もしなくてずっと寝ていても、評価に差が出るわけではない。 

 発言しない出席者には税金で謝礼を払うほうがおかしい。次回から呼ぶのをやめるべきだ。また謝礼の出し方もまったく不明瞭だ。どんな基準で金額が決まるのかは全く見えず、出るかどうかさえ終わってみないとわからない。外郭団体が事務局をやっているときは3時間で7500円ということもあるし、省や委員会の格付けによっては2時間で5万くらいのときもある。 

 更に、ときどき理解に苦しむことも起きる。某省の委員会で、開始後3ヶ月経っても何も連絡がないので確認してみた。 

 「あ、企業の方は、謝金は支給されません。大学の先生だけです」 
 らら、交通費もゼロなのだったら最初からそういってくれればよかったのに。会社に経費請求しそこなってしまった。別にこちらも謝金目当てで出ているわけではないのだし、地元の会合などには高い会費を払って出させてもらっている(!)ものもあるので、構わないといえば構わない。 

 だが、ふと気になった。なぜ大学の先生だけ謝金が出るんだろう?たしかこの会には、国立大の先生もいたはず。独立行政法人とはいえ税金で給与をもらっているはずなのに、どうして大学の先生だけ税金で謝礼が出るのかしら?なんだか、企業の研究者の知恵や経験は、国は無料で吸い上げる権利があるけど、大学の知恵にだけ敬意を払っているようで、ちょっと残念な気がした。 

 産学協同のこのご時世に、あまりにも時代錯誤かもしれない。どうせなら全員無給にすればすっきりするのに。国はやっぱり、貢献内容ではなく、立場や役職しか見ていないのだ。成果主義ではなく、年功序列が生きているのが委員会なのだろう。ま、役所だからね。 

 たくさんの会議が、今日も霞ヶ関で開かれる。みな、日本を少しでも良くしたいと思って集まっている。たくさんの知恵と時間を無駄にしてはもったいない。だからせめて、担当のお役人のみなさま、会議で熟睡しないでください!議論に参加してください!ああ、やっぱり、エスプレッソと仮眠室は、霞ヶ関に必要不可欠ではないのかな。

- 2004年9月3日 「NIKKEI NET」ITニュース面コラム「ネット時評」 -

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