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元気で優雅でハイパーな、アメリカの引退生活

 この3月にアリゾナ州フェニックスSun Lakesの友人を訪ねた。元米IBM社のSEマネージャーだった友人は54歳で引退し、今はソフトボール命という生活。奥さんは元ボーイング社のDB部長で、今はゴルフにブリッジ、地域社会とのつきあいで忙しい。

ここフェニックス周辺では、有名なSun City以外にも数多くのシニア・コミュニティーが拡張を続けている。カナダやヨーロッパから多くのシニアが太陽を求めて移住してくる。アメリカの富の80%はシニアが持っているという言葉も、ここでは実感を持って受けとめられる。友人たちも夏の間は、涼しいアイダホの湖のそばで半年暮らすという。どちらの家も70坪ほどで2000万円以下である。私は自分のローンの金額と家の広さを、換算できないことにして言わなかった。

まだ60歳そこそこの彼らは、アクティブでエネルギッシュだ。朝7時からゴルフに行く。毎晩、友達とパーティー、そしてレストランで食事。決して無駄使いはしないが、安くておいしい店はどこも一杯である。会えば孫やペットの話、地域のイベントの企画。誰の家も掃除が行き届き、趣味のいいインテリアで飾ってある。地域には81ホールもあるゴルフ場に何面ものテニスコート。ラウンジや図書館もあるクラブハウス。孫と行くきれいなプール。2万人が住む「Resort Community」は引退者の夢だ。

そして彼らの生活に、今や電話やFAXと同じくらい重要なのがインターネットだ。コミュニティーのサイトには地域のイベントはもちろんのこと、ゴルフやブリッジのメンバー表など何でも載っている。スコアも仲間うちのページにすぐにアップされる。ハイパーなシニア・ボランティアが更新しているという。 「このところ4歳の孫がメールをくれるようになってね、返事を書くのが楽しみで」 「夏の間、家を交換するシステムのWebサイトってすごく便利よ、会員制なの」 「株式のサイトはもちろん毎日チェックしてるよ」 「え、シアトルの天気?ネットで見てあげるわ」 ううむ、60代や70代とは思えない会話が続く。大学の出先でもある地区の教育センターには、何十台もPCが並び、教室はシニアで満杯だ。訪ねた時刻にはセッションをやっていなかったが、数人が熱心にホームページを作っていた。ハイテク企業の引退者が起こした、「家庭教師ビジネス」も花盛りという。

良く遊び、よく学ぶ。アメリカのシニアは元気で、優雅で、ハイパーだ。私も早く引退しよう。そんな気にさせてくれるSun Lakesである。
http://www.robson.com/

- 2001年7月 日本IBM Women's Column -

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