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ユニバーサルデザインについての7つの誤解

 UDは、どうもまだよく理解されていないように思われる。そこで、今回は、代表的と思われる誤解を例に挙げながら、UDについて、一問一答式にその特長を説明しなおしていきたいと思う。

誤解1.UDってものやまちをまったくのっぺりした平坦なものにすることでは?
→もちろん段差はないほうがよいが、単にフラットにすればいいというものではない。UDデザイン的にも美しく、かつ、アクセシブルであるべきなのである。

誤解2.UDが普及すると若者が怠けるようになって困る。老人のリハビリのためにも階段だけでよいのでは?
→UDは、階段とエレベーターとエスカレーターが、どれも「選べる」ことを目指す。若年層でもたまには足も折れば荷物もある。子供の手を引いて妊産婦が階段を降りるのを見てあぶなく感じることはないだろうか?いつもは元気な高齢者も、体調によってはエレベーターを使いたい日はないだろうか?

誤解3.UDは軽い障害者だけを一般製品でカバーするもので、重い障害者の切捨てにつながるのでは?
→最も重い障害者にできるだけ使えるよう配慮するのがUDの基本である。多くの人が使えるというのであれば階段やエスカレータだけでいいかもしれない。例えば電動車椅子ユーザーでも使いうるという発想から、エレベーターのほうがよりUDという結論になるのである。

誤解4.すべての障害者が使えるものは、結局誰にも使いにくいものになるのでは?
→建築物であればオプションを増やす、情報機器などはカスタマイズするなどの方法で、周囲とあまり違わない使い方ができるのが正しいUDである。一つのものがすべての障害者に使えることを目指すのではなく、個々の障害者や高齢者が使えるよう配慮され、その利用がお互いを阻害しないような設計が求められる。

誤解5. 一つの障害への配慮は、他の障害にとって邪魔になるのだからUDは難しい。
→例えばプラットフォームの点字ブロックが車椅子ユーザーには邪魔という意見も、充分な広さがあれば問題が消える場合もある。互いが話し合うことによって、そのニーズを理解し、節度をもって利用すると対立が消える可能性が高い。

誤解6.Universalって、万人という意味だから個性を消すのではないか
→どうしてUniとつく単語を見ると全体主義的な発想になるのかわからないが、UDは決して各人の多様性を無視して同一のものを押し付ける概念ではない。むしろ多様性を推奨し尊重する姿勢である。

誤解7. UD化にはコストが大幅にかかるうえにユーザーはごくわずかではないのか
→できるだけ設計の最初の段階からさまざまなユーザーへの配慮を行うことで、結果として後付で手直しするより安く早く実現できる。また重いニーズに配慮することで、それより軽いニーズの方にも健常者にも使え、結果として顧客層を広げることになる。

- 2001年8月20日 日経BP ユニバーサルデザインコラム-

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