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ユニバーサルデザインの考え方とは

ユニバーサルデザイン?何、それ?という読者のために、最初に一般的な定義と事例を挙げよう。みなさんは、バリアフリーという用語はご存知だと思う。健康な成人男子向けに作ったものを、障害者や高齢者が使えるように、スロープや階段昇降機をつけたりすることだ。これはとても大切なことなのだが、特殊な装置で高価だったり、障害者以外は使えない場合もある。これではコストがかかりすぎるし、高齢化に対処できない。

ここで登場するのがユニバーサルデザインの考え方だ。街やものを作るときに、設計の最初の段階から子供、妊産婦、高齢者、障害者などさまざまなニーズを持つ人ができるだけ使えるように考える。コストもかからず見た目も美しい。アメリカで、ロン・メイスという方が提唱した概念で、いま、静かに世界に浸透しつつある。

日本の製品では、たとえばヤマハの電動アシスト自転車PASである。日本は坂道が多い。健康な成人男子以外は、みんな苦労していた。この製品は、高齢者の人間特性を熟知して作りながら、マーケティングは若い女性を使い、この層から次第に中高年へと広がった。付加価値をつけた高い製品が、何倍も売れたのだ。これがユニバーサルデザインのマジックである。市場を広げる魔法の杖なのだ。

- 2000年12月18日 日経BP ユニバーサルデザインコラム-

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